腰痛改善で有名になった「マッケンジー体操」は実は膝痛(変形性膝関節症)改善にも効く

腰痛改善を劇的に変えたマッケンジー体操を膝が痛む方にも是非試してもらいたい

全国の膝痛患者の方に私はマッケンジー体操をお勧めしたいと思います。このマッケンジー体操はそれまでの腰痛改善の理論を180度変えた理論でして、背中を反ってお腹を思い切り伸ばす体操です。これまで腰痛改善では背中を反ること、腰を反ることはご法度と考えられてきました。ですがマッケンジー体操ではあえて腰を反らせます。これは腰に負担を強いるのではなく、ただお腹の奥の筋肉、体幹を伸ばしているのです。体幹を伸ばすことで背骨を保持してきた筋肉を最強化し腰痛を改善するという全く新しい体操であり、かつ効果がハッキリとでます。そしてこの理論は膝痛にも効果があります。

1956年にマッケンジーが理学療法士として受け持ったある腰痛患者の言動がきっかけで、マッケンジー法は誕生した。「腰痛を訴える患者にマッケンジーは3週間の治療を試みたが改善せず、患者は腰を後ろに曲げられなかった。ある日、ベッド角度調整の不注意から、その腰痛患者は最もダメージを受けるだろう背中を後ろにのけ反らせたうつ伏せの姿勢のまま、5分近く私の診察を待っていた。ところがその患者は、おかげで調子が過去最高に良くなり、腰から下の痛みが無くなったと言う。腰の動く範囲も著しく改善していた。次の治療でも彼に数分間同じ姿勢を取らせたところ、彼の腰痛はほぼ完治するまでに改善した。[1]

この体験を元に、マッケンジーは機械的な診断も重視しながら、患者にとって良い反応が見られる運動施術を集中的に行い、悪い反応を示すものは基本的に取りやめる、というシステムを考案した。患者の訴える痛みは症状も原因もさまざまであろうから、対応療法も各患者の反応をダイレクトに取り入れて、良い反応が見られるものを中心に行うべきである、というのがマッケンジー法の方針である。

具体的には、評価分類マネージメント予防という4つのステップで行われる[2]。中でも問診および反復運動検査を基にした、患者の評価と分類のステップが重視される。その後は、患者にとって良い反応が示される処置を重点的に行い、患者自らが痛みの緩和なり再発防止ができるよう予防エクササイズを提示する(予防による患者主体の自己管理もマッケンジー法の特徴の一つである)。確固たる原則基準に基づき、初回の検査から再発の予防対策に至るまでを含んだ、包括的な健康回復・維持のシステムであり、世界中で広く活用されている健康回復のための自己管理方法とされている[2]

マッケンジー法を正しく促進、啓蒙する組織として、ニュージーランド政府に登録されている国際マッケンジー協会があり、世界28か国に支部を持つ。同協会の講習と修了試験を経なければ、マッケンジー法の認定セラピストにはなれない。国内では、埼玉県富士見市に国際マッケンジー協会日本支部が置かれている。

体幹を強化する一番簡単な方法の一つ

私は常々このブログでもお話していますが「体幹」は体の基礎です。この基礎が欠落して多くの疾患、症状が現れます。それが腰痛であったり、肩こりであったり、頭痛、首コリです。そして膝痛もその一つです。マッケンジー体操は体幹を鍛える非常にシンプルな体操です。簡単な体操ですから体幹が強烈に強くなるほどの効果はありません、ですが多くの方はそれすらの体幹も無くなってしまっていますからこのマッケンジー体操で十分効果を実感してもらえるはずです。

体幹が強化される度に膝痛が緩和するという魔法のような現象

慢性膝痛の方は騙されたと思ってこの体操を実践することをお勧めします。体幹が強化される度に膝痛が緩和されることが身体を通じて理解して頂けるはずです。以前このブログで紹介した「ベッドから脚だけを下に投げ出す方法」もこのマッケンジーと同じメカニズムです。お腹を限界まで伸ばしきることで体幹が強化され脚の負担が軽減し膝痛が緩和します。

  マッケンジー体操のメリット
体幹を確実に増やすことができる⇒膝痛を確実に解消できる
身体に負荷がかからないため副作用がない
腰痛も膝痛も同時に解消できる

まとめ

変形性膝関節症と体幹?!何がいったい関係があるのか?多くの方は不思議に思うはずです。ですが実際には腰痛の多くは今このマッケンジー体操で改善しています。体幹の欠如はあらゆる症状を引き起こすのはスポーツの世界では常識です。一方変形性膝関節症において体幹の重要性がどこまで浸透しているかは疑問があります。整形外科の先生で体幹の重要性を説いている先生にはあまり会ったことがありません。騙されたと思って是非一度マッケンジー体操をトライしてみてください。お腹の筋肉が伸びきったと思うまでしつこくやるのがコツです。お腹の筋肉が痛くなるぐらいまで伸びきった時に膝痛が若干でも軽くなったら可能性が大いにでてきます。マッケンジー体操のキモはお腹が筋肉痛になるまで伸ばすことです。そこまでやればかなりの方が変化を感じるはずです。

最後に

アメリカでは変形性膝関節症は運動療法で治します。運動療法、つまり筋肉を正しく動かすことで変形性膝関節症を治すのです。日本ではそうではなく投薬療法や水抜き、湿布、ヒアルロン酸注射が主流です。今回お伝えしたマッケンジー体操は正真正銘の運動療法です、体幹を鍛え上げ変形性膝関節症を治すという運動療法です、ぜひお試しください。


運動療法(うんどうりょうほう、英語: Exercise therapy)とは、身体の全体または一部を動かすことで症状の軽減や機能の回復を目指す療法のこと[1]治療体操機能訓練などとも言う。運動療法というのは、その名称どおり、運動すること、つまり身体を動かすこと、を治療法として用いることである。
理学療法士が行う治療では、日常生活活動訓練物理療法などと並び主用な治療法のひとつである。運動療法には関節可動域回復訓練、麻痺回復促進訓練、歩行訓練、筋力増強、心肺機能改善訓練などが含まれる。
健康維持・増進における運動の効果が医学的に認識され、運動医学スポーツ医学が研究されるようになって、生活習慣病などに効果が期待されている分野である。運動療法は、現在は主に生活習慣病(高血圧動脈硬化虚血性心疾患糖尿病高脂血症等)に効果的とされている。