膝の関節軟骨は車でいう「タイヤ」、この「タイヤ」は正しく歩けば耐用年数は一生

なぜ何万回も膝を屈伸しても脚の骨が「摩耗」しないか?

なぜ人間は何万キロも走っても骨が健康な状態でいれるのでしょうか?何十キロ、何百キロもの重圧が膝にはかかるので本来であれば削れます。ところが骨が死ぬまで削れずに、膝に痛みを感じることく寿命を全うする人もいるわけです。その理由が関節軟骨です。骨を守るために形成された軟骨は骨のタイヤみたいな役割を担っています。しかもそのタイヤは死ぬまで削れません。


軟骨は、結合組織に分類され、豊富な細胞外基質と、その中に点在する軟骨細胞が特徴的である。
軟骨における細胞外基質を、軟骨基質という。軟骨基質の主成分は、コンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンである。コンドロイチン硫酸は大量の陰電荷を持っており、ナトリウムイオンを引きつける。この時、ナトリウムの水和水が一緒に寄ってくる。このような仕組みで、軟骨は豊富な水分を含んでいる。
軟骨細胞は、軟骨基質の中の軟骨小腔と呼ばれる穴の中に入っている。軟骨細胞は、線維芽細胞系の軟骨芽細胞から分化する。分裂直後の軟骨細胞は密集しているが、周囲に軟骨基質を分泌するにつれて隙間が開いていく。そのため、完成した軟骨では、一つの軟骨小腔には多くとも 2、3個の細胞しか入っていない。
軟骨全体は、軟骨膜によって包まれるのが普通である(例外:関節軟骨)。血管は軟骨の中には侵入せず、軟骨細胞は、組織液を介した拡散によって酸素や養分を受け取り不要物を排出する。

wikipedia

削れない「タイヤ」など存在するのか?

タイヤは使えば削れます。使う度に徐々に削れていきます。ところが人間のタイヤ(関節軟骨や半月板)は関節液によって日々メンテナンスされているので削れないのです。厳密には削れる度にその場で修復されていきます。このシステムによって死ぬまでタイヤがタイヤの状態で存続できるのです。

そんな優秀なタイヤ(関節軟骨)が「摩耗」するのはどのような時か?

ところが変形性膝関節症の方はこの優秀なタイヤが摩耗し痛みが発生しています。これほど優秀なタイヤがなぜ摩耗するのでしょうか?それは膝関節自体が歪んでしまいタイヤが擦れた状態になっているからです。使用する負荷+歪みによる負荷が加わり修復が追い付かない状態になっているのです。

関節軟骨の長所 関節軟骨の短所
磨耗しても再生される

軟骨自体に痛覚がないため鎮痛剤を打つと削れているかが分からなくなる

関節液で自動修復される 関節液の廻りが悪い状態、動かさないと修復回復しない
動かすだけで関節液が廻り軟骨は復活し始める 安静にするだけでは修復されない
軟骨には痛覚がないが磨耗粉が痛みを間接的に作る 軟骨は放置すると癒着する


硝子軟骨は、最も一般的に見られる軟骨で、関節面を覆う関節軟骨、気管を潰れないように囲っている気管軟骨と甲状軟骨、胸郭の可動部分となる肋軟骨などがある。均質無構造であり、半透明であり、生涯見られる軟骨であるため永久軟骨という。一方、哺乳類の胎児期においては、全身の骨格が硝子軟骨として現れ、これが骨に置換されていく事が知られており、出生後も成長期においては、全身の長骨に骨端軟骨(成長軟骨)とよばれる一時軟骨の層があり、これが成長に合わせて骨に置換され続ける。このように軟骨が大まかな形をつくり、それが硬骨に置換される様式を軟骨性骨化という。

wikipedia

まとめ

変形性膝関節症は軟骨の問題です。関節を守るためのクッションである軟骨が磨耗してダメージを負いその破片、磨耗粉が炎症を引き起こします。そしてこの軟骨はある一定範囲であれば何度でも再生可能な完璧な代物です。ところが膝関節が一定以上に歪み始め全ては崩れていきます。膝関節を歪ませる原因は何でしょう?それは筋肉の異常です。膝関節周辺、周辺以外の筋肉に異常が起こり筋バランスが崩れて膝関節を変形させているのです。黄金率が崩れ始め徐々におかしな筋バランスに。身体の筋力がついにそれを支えきれなくなった時点で膝関節内の軟骨が悲鳴を上げ始めます。早く改善しないとこのまま消耗しつくしてしまうよと痛みを発信しているのです。当院ではこの筋肉の異常に対して「揉む、叩く、捻る」の刺激で異常を正常に戻していきます。筋肉に刺激を入れ続けて筋肉の回復に努めます。筋肉が徐々に徐々に回復していきますと膝関節の歪み、変形が是正され正常な形に戻ります。すると関節内の関節軟骨も正常に回復が進み一切痛みを発信しなくなるということです。

最後に

アメリカを始めとする先進国では変形性膝関節症は運動療法でなおします。運動療法とは筋肉の動きを良くすることで症状を治す方法です。鎮痛剤や湿布、ヒアルロン酸注射、水抜きではなく運動で膝痛を解消するというのがポイントです。関節痛は基本的に筋肉の異常が引き起こすというのが基本であり関節自体がおかしくなることはないと考えます。経年劣化や老化で膝痛は起きない、筋肉の異常が引き起こすというのが世界の常識です。